次期WRX?そもそも、それは存在するのか? [2018年01月19日更新]

WRX STI
 
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photo by SUBARU
次期WRXは存在するのか?
 
2018年1月19日 次期WRX、その心臓には何が?

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文責:スバルショップ三河安城 和泉店

お問い合わせ:0566-92-6115

担当:余語

 

SUBARU VIZIV PERFORMANCE STI CONCEPTが、次期WRX?

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年明けの突然の開催概要発表に合わせてその存在が明かされた「SUBARU VIZIV PERFORMANCE STI CONCEPT」。そのインパクトは相当だったらしく、期待を込めて「これが次期WRX?」との観測もなされています。

それは、本当なのでしょうか?

そもそも、次期WRX、次期WRX STIは存在するのでしょうか?

 

SUBARU GLOBAL PLATFORMを採用する次期WRX。

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次期WRXは、次世代プラットフォーム「SUBARU GLOBAL PLATFORM(以下、SGP)」をベースに開発されます。現行インプレッサと共にデビューし、その走りと衝突安全性の高さを評価されて、見事カー・オブ・ザ・イヤーを獲得した、ジャーナリスト折り紙付きのシャシーです。FF1.6Lのインプレッサから、2.4Lターボの巨大SUVアセントまで、スバルの全モデルは今後このシャシーをベースにします。

SGPは、屈強なシャシー剛性とサスペンション剛性が特徴です。エラストマで路面入力をごまかすことなく、シャシー全体でそれを受け止め、確実にサスペンションを作動させるだけのシャシー容量を持っています。

このSGPに、WRXのパフォーマンスを合体させたら。。。期待は高まるばかりです。

 

次期WRXのエンジンは、何か?

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次期WRXへの最大の課題は、エンジンです。歴戦のEJ20は、さすがに限界。となると、新たなエンジンが必要です。

スバルは、2019年の次期レヴォーグに間に合わせるべく、次世代ダウンサイジングターボを開発中です。自動車用内燃機関技術研究組合(AICE=アイス)における、共同研究の結果をフィードバックし、さらなる熱効率の改善を図るというこの次世代エンジンは、1.5Lと1.8Lの2種がラインナップされます。

1.8Lターボ?レヴォーグでは充分であったも、次期WRXには少々役不足に思えます。1.8Lならば、頑張って絞り出しても300psは難しいかも知れません。

現行VABは308ps/43.0kg-mで1490kg、先代GRBは同出力で1480kg、先々代GDBの最終モデルでは280ps/43.0kg-mで1460kg、初代GC8のこれまた最終モデルでは280ps/36.0kg-mで1260kg。次期WRXでは、VAB同等以上のパフォーマンスは必須です。

先だって限定販売されたS208のEJ20は、STI屈指の職人による手組みながら、S207から1psのアップの329psに留まりました。80年代に設計された歴戦のEJ20は、もう限界なのです。一方、メルセデスA45 AMGはカタログモデルでありながら、同じ2Lから381ps(!!)を絞り出しています。

今や、時代は完全に直噴です。燃料の気化潜熱で充填効率を高めつつ、高圧縮下で異常燃焼しないよう緻密に燃焼を制御して、熱効率の限界を攻める。そんな芸当は、旧世代のポート噴射では不可能です。

ポート噴射でも直噴同等のパフォーマンスが可能と豪語していたトヨタは、2015年のWECで大不振。トヨタは早々に方針を切替え、2017年投入予定の2.4L直噴V6ターボを1年前倒し投入。見事、復活を果たしています。

いや、例え1.8Lで300psであっても、ハイブリッドでブーストすれば・・・という報道もありますが、スバルが自力開発したハイブリッドシステムはちょっと役不足。次期フォレスター用のHVシステムは、トヨタ系企業から供給を受けるのですが、パフォーマンス系のチューニングに耐えるものではないでしょう。それに、適切なトランスミッションがありません。

少々古いハイブリッド車に乗ると、毎回加減速のゲインが異なるのが分かります。バッテリを可能な限り活用するために、充電量に応じてエンジンとモータの動力の負担割合が違ってくるからです。当然ながら、こんな事はレーシングドライブでは許されません。

2012年に、トヨタがTS030のテストカーをシェイクダウンした時、ドライバー達は途中で走行をボイコットしました。彼ら曰く「殺す気か!?」と。急激に立ち上がるモータアシストと、不安定な回生ブレーキ。とても、レーシングスピードでドライブできる代物では無かったのです。パフォーマンスハイブリッドの開発は、一朝一夕にはできるほど簡単ではありません。

常にドライバーが意図したように、制動力が立ち上がり、望みどおりのトラクションを掛けていける。それで無くては、ドライバーは命がいくつあっても足りません。しかも、群馬のエンジニア達にとっては、それは最低条件。スバルの手練のエンジニアが納得するレベルに仕上げるには、途方もない時間とコストが必須です。しかし、スバルにはマイルドハイブリッドしか経験がないのです。。。

 

歴戦のEJは、もう限界?新たなるエンジンとは。

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ならば、現行WRX S4が搭載するFA20DITはどうでしょうか?

現在でもEJ20を継続していることについてスバルは、FA20ではEJ20同等のリニアリティとパフォーマンスの実現は不可能と答えています。その理由として、コンロッド形状を挙げています。

水平対向エンジンの場合、ピストン・コンロッドの組み付けが常に問題となります。EJ20ではクランクシャフトに先にコンロッドを組み付け、シリンダー横のサービスホールからピストンピンを挿入してピストンを組み付けていました。FA20ではコンロッドの割面を斜めにして、オイルパン側からの組付けを可能にして、セオリー通りの組み立てを実現しています。

生産性の向上を図った分、FA20のポテンシャルは制限されてしまったのです。

でも、本当でしょうか?当Web上でお伝えしているように、イギリスのツーリングカー選手権でレヴォーグがタイトルを獲得しています。そのエンジンは、FA20DIT。チューニングは、イギリスのマウンチューンが手掛けています。あれれ?

そうなんです。FA20DITのチューニングは不可能ではないのです。

先ごろ、LAでデビューしたアセントのエンジンは、2.4Lに拡大した新開発のFA24DIT。こちらをベースにするのは、どうでしょうか?FA20DITと同じ150ps/Lならば、360psは可能。よりショートストロークになったことを考慮すれば、380psは可能かも知れません。これなら、ポテンシャルは充分でしょう。様々な状況を勘案すれば、FA24DITとするのが最善のように思えます。

 

一番の懸念は、時代の流れと経営陣の情熱。

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現在、スバルの業績は右肩上がり。北米が堅調で、手堅い印象です。スバル・オブ・アメリカは、ラリーシーンやお遊び企画でビビットなイメージを訴求しつつ、SUV系をアットホームなイメージを訴求することで、タフで高性能かつ若々しいブランドイメージを上手く育てているようです。SUVの売れ行きが柱にはなっていますが、WRX系も月販3000台程度と堅調でです。

一方、国内では400万円超の価格が災いしたのか、WRX系はすっかり軟調。かつての無印WRXのような、WRX S4のMT版が国内にもあれば。。。

兎にも角にも、次期WRXは明確に北米をターゲットに据えるはずです。現行WRX STIは国内ではEJ20、北米ではEJ25を搭載と、エンジンは別立て。となると、次期WRX STIにFA20DITという線は、パワーダウンのイメージが強く、あり得ないように思われます。やはり、FA24DITが濃厚のように思われるのですが。。。

結局のところ、こうしたパフォーマンスモデルの開発には経営陣の情熱が不可欠です。WRX専用にエンジンを仕立てるとなれば、利益面では相当に厳しいはずです。ただ、WRXはスバルのイメージそのものであり、フラッグシップだと考えれば、その投資を妥当と判断するでしょう。もし、その答えが「否」ならば、ギリギリまで延命を図った後に、WRXは静かに役目を終えるはずです。

ニュルでブッチギリの速さをアピールしていた、かつてのWRX。その再来を!!そう願う、ファンたちの希望はスバルに届くでしょうか?応援をお願いします!!

 

文責:スバルショップ三河安城和泉店 営業:余語

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