新SUVを予告する、VIZIV ADRENALINE CONCEPT登場。 [2019年03月06日更新]
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GLOBAL戦略SUVは、XV以上フォレスター未満。
2020年代中盤に登場が見込まれる「GLOBAL戦略SUV」。そのコンセプトモデルと目されるのが、今回登場したVIZIV ADRENALINE CONCEPT。その注目のモデルが、2019年3月5日スイス・ジュネーブ国際モーターショーで発表されました。
このGLOBAL戦略SUVは、フォレスターの上級移行によって生じたXVとのギャップを埋めるために登場する、ブランニューモデルです。XVのディメンションを踏襲しつつ、フォレスター並の車高を持つSUV。それが、GLOBAL戦略SUVの基本コンセプトです。エンジンは、目下開発中の1.5L直噴ターボと新HVユニットの2種。どちらも、2020年代の主力を担うドライブトレインであり、その頃には「ごくフツー」なエンジンラインナップと見なされるはずです。
群雄割拠のSUV市場で、スバルは成功を維持できるか。
同じ日、マツダはCX-30を発表し、レクサスはUXを既に市販中。SUV市場は、今や世界各地で花盛り。特に、コンパクトSUVはモデル数が少ないため、ここ数年が正念場。つまり、GLOBAL戦略SUVが登場する頃には、既に群雄割拠ひしめく状態になっているはず。スバルは、そんな厳しい市場で成功を収められるでしょうか。
このクラスでの成功のカギを握るのが、デザインのインパクト。特に競争が激しい新興国市場では、ブランドイメージが根付いていないため、「見た目一発」のインパクトがないと存在感は皆無。CX-30やUXが、実用性よりもデザイン性を優先しているのは、そのためです。「見た目一発」のインパクトで鮮烈に印象づけ、購買意欲に訴えようとしているのです。
両車ともに、死角も多いし、荷室は狭いし、室内も狭いはず。4WDシステムも、質実剛健なスバルのそれとは比較にならないものでしょう。そもそも、販売数の大半はFFのはず。でも、中身より、大事なのは「外見」なのです。
カタチは、参考程度に。市販モデルは、もっと堅実的?
VIZIV ADRENALINE CONCEPTもまた、クーペライクな低いルーフラインと、アグレッシブな造形が魅力的。スバルらしからぬ、カッコよさが好印象です。これならば、新興国市場でも。。。
しかし、このコンセプトがそのまま市販モデルに反映されると考えるのは、早計というもの。そもそも、世界で最もコンセプトモデルの再現度が低い!?と言われるスバルですし、アセントやフォレスターを見て分かるように、直近のスバルは相当の堅実路線ですから、市販モデルは「想像の範囲内」のコンベンショナルなデザインを纏っていることでしょう。
そもそも、低いルーフラインとコンパクトなリヤゲートは、スバルの視界に関するデザイン基準を満たしていません。また、フロントエンドの複雑な造形を、量産品に反映するのは難しいでしょう。
市販モデルは、現行XVと大差ない(区別が付かない)デザインである可能性が濃厚でしょう。
スバルデザインの安全へのこだわりは、両刃の剣か。
スバルは安全の第一義として、視界を挙げています。視界無くして、安全なし。そのため、如何に魅力的なデザインであろうとも、厳しい視界基準を満たしていなければ、スバル車として日の目を見ることはあり得ません。
先日、トヨタCH-Rに乗る機会がありました。コンセプトモデルと見紛うばかりのデザインは、素晴らしいレベルです。特に、リヤドアのプレスなどは、よくここまで深く絞れるものと痛く感心した次第。SUVでありながら、SUVではない。ファンション感覚でSUVテイストを愉しむ。そんなクルマの狙いが、ありありとデザインに表現されています。
。。。と、デザインは素晴らしいのですが、乗ってみると後方視界は最悪を通り越して、劣悪レベル。もし、左後方に子供がいても、絶対に見えません。分からぬまま、轢いてしまうはず。。このクルマがレンタカーだったため、バックカメラの解像度も良くなかったので、毎日使う社内駐車場でもバックには相当気を使わねばなりませんでした。
クルマは、毎日乗るもの。それならば、優先すべきは安全=視界確保だと、スバルは考えているのです。この視界基準を満たすデザインとなると、どれも同じようなデザインにせざるを得ない。それが、スバルデザインの現状です。
アイサイトは、次世代型のver4を搭載。
アイサイトは、スウェーデンのオートリブと共同開発している次期型が搭載されるはずです。これは、日立オートモティブ製の現行ハードウェアに代わって採用されるもので、2020年代にスバルの標準システムとして実用化されるもので、2021年の登場が目される次期レヴォーグに初搭載される予定です。
急速に高度化が進んでいる印象のADAS(先進運転支援システム)ですが、市販品としての歩みはゆったりとしています。アイサイトに並ぶ、レベル2の機能を実装するシステムは徐々に増えていますが、全メーカーで採用されている訳ではないのです。
この状況は、向こう数年間変わらないはずです。
世界の強豪が死力を尽くして研究しているのは、その先のレベル。そのため、現状のレベル2をブラッシュアップしている余裕はないのです。そのため、機能上では依然としてアイサイトver3.5に分があります。
次世代を担うver4ですが、現行のver3.5(ツーリングアシスト)を踏襲しつつ、各機能をブラッシュアップした範囲に留まるでしょう。
SUVは、今やニッチにあらず。自動車市場の主戦場となる。
トヨタRAV4が始祖とされる、SUV。安価な乗用車ベースのシャシーに、アクティブなエクステリアと高い実用性を持つSUVは、20年を経て世界中でブームを巻き起こしています。テスラがセダン型EVを造ったのに対し、後に続く欧州ブランドのEVはどれもSUVタイプ。最早、SUVは市場のスタンダードとなっているのです。
フェラーリを除くすべてのメーカーがSUVをラインナップ。既に成功を収めています。この流れは、日本にも逆輸入され、3列シートSUVのマツダCX-8は堅調に推移、レクサスの新型車はSUVばかりです。スバルでさえも、今やレヴォーグとインプレッサは主役にあらず。国内販売を牽引するのは、XVやフォレスターなのです。
この流れに遅れまじと、スバルが追加投入するGLOBAL戦略SUV。この登場によって、スバルのSUVは5モデル構成となり、主軸は完全にSUVに移行することになります。その成否は、スバルの運命を大きく左右することになるでしょう。