家にいよう。特別企画 クラブ・スバリズム歴史発掘!技術的偉業10選 第6弾「シーウルフ級原子力潜水艦」 [2020年04月23日更新]

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「家にいよう。」特別企画
 
    2020年4月23日 第6弾「シーウルフ級原子力潜水艦」

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文責:スバルショップ三河安城 和泉店

お問い合わせ:0566-92-6115

担当:余語

 

エンジニアなら知っておきたい。技術的偉業10選。

温故知新。古きを知り、新しきを知る。古きものには、様々な知見が内包されています。数多の失敗を重ね、多大な犠牲を払い、偉大な挑戦があって、モノは誕生します。しかし、その中には現代では全く見落とされてしまっているものも少なくありません。だからこそ、新しきを造る人々は、古きものを良く知る必要があるのです。

もちろん、高度に電子化されつつある現代技術と、20世紀の技術には大きな隔たりが存在します。自動車一つとって見ても、中身は全く似て非なるものへと進化を遂げています。

一方で、その本質は何も変わっていません。その本質を突き詰めて見ていく限りに於いては、技術に古いも新しいも無いのです。

ここに列挙したのは、小生が独断で選んだ、特筆すべき技術的偉業の数々です。もし、興味があれば、書籍をご購入の上で詳しく理解されることをお勧めします。

 

空前絶後の性能を誇る史上最強の攻撃原潜。

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1996年、海上公試を行うシーウルフ級攻撃原潜1番艦シーウルフ。世界最強の攻撃原潜が誕生した瞬間だ。

世界最高の性能を誇る、米海軍原子力潜水艦。就役中のものだけでも80隻弱に達し、世界各地の海洋を遊弋し、世界最強のプレゼンスを維持しています。また、米原潜は核戦力の主力として、その一翼をも担っています。

米原潜が誇る能力は圧倒的で、他の追随を許さない高度な作戦能力を備えています。その中でもさらに傑出した性能を誇る、3隻の原子力潜水艦があります。それが、シーウルフ級原子力潜水艦です。

東西冷戦末期に計画されたシーウルフ級は、ソ連原潜を圧倒する能力を付与され、1997年に就役した史上空前の能力を誇る世界最高の原潜です。

現代の潜水艦は、攻撃型とミサイル搭載型の2種に大別されます。攻撃型は、航空機では戦闘機であり、敵水上艦や敵潜水艦を攻撃するのが目的です。もう一方は、ミサイル搭載型で、航空機では爆撃機に相当します。船体に大量のミサイル発射管を備え、ここから敵国へ向けて弾道及び巡航ミサイルを発射します。

 

原潜は食料と忍耐が続く限り、無限に潜航可能。

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日本の海上自衛隊が保有する潜水艦戦力は世界屈指。しかし、その戦力はディーゼル潜水艦に限られる。

一方、動力源でも、原子炉を動力源とする原子力潜水艦と、ディーゼルエンジン等を動力源とする通常動力型潜水艦に分類可能です。

ディーゼル型の最大の弱点は、吸入空気です。空気を吸入するには、水上にシュノーケルを伸ばさねばならず、潜航深度が限られる上、シュノーケル自体が被探知される可能性があります。そのため、大容量蓄電池やスターリング機関等の搭載により、非大気依存推進を実現していますが、この場合の潜航速度は5ノット程度に制限されます。原潜より静粛性に優れているものの、潜航時間及び潜航時の性能には限りがあるのです。ギリギリの酸素、どんどん減っていく電力、お風呂は海水。。。乗員には凄まじいストレスです。

一方、原潜は食料と忍耐が続く限り、無限に潜航可能。しかも、原子炉の稼働には空気は不要ですし、継続的に膨大な電力を供給可能ですから、酸素供給、真水の供給が途絶えることはありません。あらゆる意味で、原潜は圧倒的なのです。

 

戦略ミサイル原潜の活動は、国家最高機密。

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演習で発射されたSLBM。戦略ミサイル原潜は海洋深く身を潜め、「その時」が来るのをじっと待っている。

2つの国家が核戦力で対峙する時、地上配備基地の先制攻撃が可能であれば、核戦力は真の意味を失います。ところが、戦略ミサイル原潜は、世界中の海洋を無制限に隠密行動可能ですから、核戦力の先制破壊は不可能です。この状態では、報復核攻撃を受けるのが不可避なため、互いに核戦力を使うことができません。これをMAD(相互確証破壊)と呼びます。現時点で、戦略ミサイル原潜を運用しているのは、米・露・中・英・仏・印の6カ国です。

戦略ミサイル原潜の主兵装は、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)です。超長波による発射命令を受領すると、原潜は発射可能深度まで上昇。艦長が発射ボタンが押すと、SLBMはガス圧で海面上に打ち出され、第一段エンジンに点火。SLBMは最高到達高度1000kmまで上昇すると、目標地点へ落下します。

弾道ミサイル原潜は来る核戦争に備え、常に即時発射体制を整えつつ、大洋深く隠密行動を取っています。そのため、弾道ミサイル原潜の活動及び性能は、国家最重要機密とされています。

 

日本の不正輸出事件で、ソ連原潜の性能が向上。

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シーウルフ級3番艦ジミー・カーター。その頑強な船殻により、深海610mでの作戦行動を実現している。

シーウルフ級開発のキッカケは、1987年の東芝機械ココム違反事件です。東芝機械は、優れた静粛性を実現するプロペラの製造を可能にする、9軸CNCフライス盤を共産圏に不正輸出。これを機会に、ソ連原潜の静粛性が飛躍的向上。一方、当時最新のロサンゼルス級は潜航深度650ftに過ぎず、1,500ftを可能にするアクラ級に、性能上でも大きな差を付けられていました。

米海軍は、これらソ連原潜を圧倒し、長期に渡ってそのプレゼンスを維持できる、圧倒的性能を誇る攻撃型原潜を求めたのです。

シーウルフ級は、工期短縮と建造費用低減を図るため船体にモジュラー構造を採用。さらに、HY80高張力鋼に代わって、20%強度に優れたHY100を船殻に採用。潜行深度は2,000ftに達しています。また、米国では初となるポンプジェット推進を採用。これは、プロペラの周囲をリング状のシュラウドで覆うもので、速力向上と静粛性向上が実現。その効果により、水中最高速度は39ノットに達するとされます。

 

20ノットで静粛航行可能。シーウルフの脅威。

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艦首に巨大なパッシブ・アレイ・ソナーを搭載し、側面にも左右それぞれ3つのアレイ・ソナーを持つ。

クジラやイルカと同じように、潜水艦はすべての探知を「音」に頼っています。あらゆる潜水艦には音に違いがあり、これを「音紋」と呼びます。潜水艦には、この音紋を元にターゲットの艦種や敵性を判断する以外、他に探知手段がありません。

シーウルフ級は、艦首に巨大なパッシブ・アレイ・ソナー、艦尾には曳航式ソナーを持つ他、側面にも左右それぞれ3つのアレイ・ソナーを装備。高速潜航中でも、優れた探知性能を誇るとされます。

被探知を免れるため、船体を無反響タイルで包んだ上、雑音軽減コーティングが成されています。ロサンゼルス級では静粛航行時は5ノットが限度なのに対し、20ノットでの潜航が可能です。その静粛性は、未だ現役のロサンゼルス改級の10倍に達するとされます。

シーウルフ級の誇る静粛性は、他の原潜からは脅威でしょう。圧倒的性能を誇る攻撃原潜が、まったく音もなく高速で忍び寄ってくるのですから。

 

敵を失った、史上最強の攻撃原潜シーウルフ。

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攻撃原潜のもう1つの任務に、空母打撃群CSGの護衛がある。艦体に随伴し、これを狙う敵攻撃原潜を撃滅する。

シーウルフ級に与えられた任務は唯一つ、ソ連原潜の撃沈です。一つは、敵攻撃原潜の撃退による、味方ミサイル原潜の護衛。もう一つは、敵ミサイル原潜の破壊による発射阻止です。東西冷戦下で計画されたシーウルフ級は、そのためだけに開発された、単一任務に特化した究極の攻撃原潜なのです。

それ故、現在では一般的なVLSは一切備えておらず、攻撃手段は艦首の8門の魚雷発射管のみ。ここからは、Mk48重魚雷、ハープーン対艦ミサイルの他、トマホーク対地巡航ミサイル等が発射可能です。

あらゆる性能を高次元で実現したシーウルフ級は、1隻の建造費用が21億ドルに到達していました。1番艦シーウルフは、1989年10月25日に起工。ソ連原潜を屠るべく、シーウルフの胎動が始まったのです。

ところが、時代はシーウルフを求めていませんでした。1989年12月2〜3日のマルタ会談で冷戦の集結が宣言されると、1991年12月25日にはゴルバチョフ総書記は連邦の解体を宣言し、ソ連は完全に過去の存在となったのです。

 

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